「花よりもなほ」

昨日見てきました。
なるほど、なるほど、なるほど・・・っていう。良い映画でした。
奇をてらったところがないというか、CM以外の知識は特になくとも、見る前に「こういう映画だろうな」って思っていたとおりのテーマ、ストーリー、雰囲気の映画でしたけれども、とても良い映画でした。
とにかく是枝監督はやはり絶対子役を撮るのが良いです。
貧乏長屋に住む父親のいない子供(おさえ(宮沢りえ)の息子)と、宗左衛門の父親の仇の息子が偶然友達なのですが、この二人がめちゃくちゃかわいい。
思わず太字にしてしまいましたが・・・。二人とも武士の子供たちにいじめられたりするんだけど、それをかばってくれたりね。
水溜りで水をかけあって遊んでいるところなんか最高です。
映画とかドラマでこういう子供のシーンがあるとどこか白々しくなるものですが、是枝監督が撮る遊んでる子供って本気で遊んでるっぽくてとにかくかわいい。
それとか、宗左衛門に父親の顔を書いた絵を見せてあげるよって言って押入れからその絵を取り出すときの男の子の足。
背伸びしているところが床すれすれの視点から足だけ映されるのとか。
最後、皆で帰ってくるときの雪の中の一人歩く後ろ姿とか。
なんかこう目線に子供への愛があふれてる。いじらしいという子供の姿そのものです。
岡田くんもその男の子とからんでいる場面が一番良いと感じたし。
とにかく子供です。むちゃくちゃかわいいです、それだけで泣けます。
ストーリー自体は、仇討ちという主題はあるものの、むしろそれより長屋という狭いコミュニティの話って感じだった。で、ものすごく貧乏で江戸の社会からみたらすごく虐げられている生活なのですが、とても生き生きとしぶとく生きている、ひとつの家族という感じ。
なんか長屋っておもしろいなあーと思った。プライバシーもへったくれもない、生きてくのでせいいっぱいなんだけど、別に特別なことをしなくても、なんとなくしょうがなし支えあって生きてるというか。
住居は人間に大きく影響しますね。人間が家を作っているようですが、家が人間を作るのです。
小説とかなんでもそうですけど、建築から物語を分析するととても面白いのです。大学のときはそんなようなこともやったりしました。
なんか脱線しましたが、その他忠臣蔵とからめていたりするのとか、最後とかうまいなあーと思った。面白かったです。
あと自分的に一番印象に残ってるのはそで吉(加瀬亮)とおりょう夏川結衣)だったりする。
普通だったら心中とかした方が江戸っぽいですが、そうじゃないっていうのがこの映画のテーマに絡んできてるんだと思う。
そで吉の、「ずっとここで、あんたがばあさんになるのを見てていいかい」(うろ覚えですが・・・)という台詞がとても良いです。泣ける。
で、准ちゃんですが、准ちゃんは顔が狼だなあーと思った。
私には彼が狼に見える。目がすごい狼っぽくないですか!シベリアあたりの。(適当)
ちっさい頃は子供だったので、ころころしてたから一緒に仔犬同士遊んでたけど、育ってみたらひとりだけ実は狼だったみたいな、寂しさを感じるというか、そんな寂しさを抱えていてほしい、そんな春の午後です。(←困ったときに使う。)
先述の子供に茶屋で字を教える場面はなんかもう照れくさくてどきどきしてしまった。やさしい!!やさしすぎる!!なんだその春のうららかな陽光のような微笑は。
良い映画に出たね。パンフレットにある松尾スズキ氏のコメント、自分も全く同じ考えです。
そんなわけで、久々に映画館で映画を見て、楽しかったです。
「リンダ・リンダ・リンダ」もよく考えたら去年だし、6月でやっと今年初めて映画館に映画を見に行ったようだ。
今のところほかに見たい映画もないなあ・・・。今後の予定の中でもあまりない。「親指さがし」だけですね。
うちの地元で、「親指さがし」の上映がやっと決まったようなので、これで心おきなく公開を待てるというものです。